『アメリ』は幼い頃、両親を事故でなくし、5歳年上の兄と叔父夫婦の家で暮らしていた。
穏やかな日々が続いていたが、それは兄の黒蔦病発症で終わりを告げる。
黒蔦病。
それは、ボードゥワン王国に流行する死に至る病だった。
民の中には「黒蔦病」は呪いだといううわさが蔓延していて、罹患した者は差別を受けている。
「黒蔦病」の治療薬は高価で、貴族が独占していた。
『アメリ』が兄の黒蔦病を直したいと願ったその時、広場に看板が立つ。
『王子の花嫁求む』
それは、ボードゥワン国に住む18歳から25歳までの未婚の娘を対象とした花嫁募集。
『王子様の花嫁に選ばれたら、兄さんを救う薬を手に入れられるかもしれない』
『アメリ』は王子の花嫁になるために、王城へと向かった……。
[ 花売り娘と王子 ]